運転資金
資金繰りに関係する要素として、ここまで紹介してきたのは運転資金に関するものです。運転資金とは仕入や製造、販売等といった通常の一連の営業活動に伴って短期的に循環する資金です。そしてその運転資金以外の資金の動きを表すものが経常外収支です。
ここではこの経常外収支と資金繰りの関係についてみていくことにします。
この経常外収支にも収入の項目と支出の項目とがあります。収入の項目としては借入、定期性預金取崩、固定資産売却等があります。これらを私たちの日常生活に例えて言うなら、友達にお金を借りたり、はたまた金融機関からお金を借りたり、または貯金を取り崩したり、或いは不動産や自動車を売ったりすることに相当します。
これらは労働から得る定期的な収入以外の収入だと言えます。 また経常外収支の支出の項目としては,借入金返済、定期性預金預入、固定資産購入等があります。
いずれにせよ経常的な経営活動、営業活動以外によって発生する非定期的な、特別な収入及び支出が、この経常外収支のカテゴリーに含まれると言えます。ここではこうした経常外収支と資金繰りの関係について紹介していきます。
皆さんが企業の経営者であればこうした観点から資金繰りの状況を確認していく必要があります。 企業の生産活動には、当然相応の設備投資が必要となります。この設備投資のための資金を設備資金と言います。
この設備資金はどこからどうやって調達するのでしょうか。設備資金は通常の場合、本来企業が持っている資金である自己資本、それに銀行などからの借り入れである長期借入金によって調達します。
ですがこの長期借入金は借りたお金である以上、当然返済をしていくことになります。そしてここで身の丈に合わない借り入れをしてしまい、その結果借入返済額が賄いきれなくなった場合、経常収支のやりくりに必要な運転資金にまで影響が及び、そして資金不足即ち資金繰りに支障を来たすことになるのです。
これは実はバブル経済の崩壊後に多く見られた現象です。多くの企業がバブル景気の頃には、景気の先行きを楽観視して身の丈以上の借入をし、思い切った設備投資を行いました。ところがその後バブルが弾け、急激に不況が到来したことから受注が激減し、当初の見通しどおりに売り上げを上げることができなくなりました。
その結果多額の設備投資のツケとしてこれまた多額の償却負担だけが残り、借入金返済に苦労することとなりました。こうして多くの企業が資金繰りに苦しむようになり、資金に余裕がなくなってしまいました。
その結果当然ながら新たに戦略的な事業活動を行うことができなくなります。過大な設備投資とそれに伴う過度の借入が、結果的に経営の柔軟性を奪ってしまいました。
バブルがもたらした後遺症はこんなところにも及んだのです。
景気の如何に関わらず、設備投資は慎重に行うことが肝心です。設備投資はその計画の段階で先行きの利益に関する計画、見通しのみならず、資金の調達や償還計画をしっかり練っておくことです。
これらをきちんと整理、検討してから決断することが大切です。
当然ながら設備投資には相応のまとまった資金を投入することになります。こうして投下した資金を確実に回収することが肝心なのですから、当初目論んだ売上高や利益が今後も継続的に上がるのか、様々な尺度で検討するが大切です。
そうでなければ文字通り「絵に描いた餅」となってしまい、当てにしていたはずの資金が入らなくなってしまいます。そうなれば資金繰りが行き詰ってしまい、企業の経営が苦しくなってしまうことは目に見えています。
設備投資は一過性の投資では収まりません。設備投資をすると、例えばその設備の点検整備費や修繕費の維持費がかかってきます。
これ以外にも税金や保険料などの費用も毎期かかることになります。
もし皆さんの経営する企業で、以前設備投資したものの投資効果が芳しくなく、その結果今では稼動していない固定資産があったら、寧ろそこで売却処分してしまって、そうして資金を回収することも検討したほうがいいかもしれません。
そのほうが結果として資金繰りの状況を改善することにも繋がります。
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